Restart~あなたが好きだから~
(まさか、佐倉さん・・・。)
よからぬ想像が、ふと頭をよぎる。
でも、次の瞬間、式の準備も順調に進んでいる・・・この前会った時、そう幸せそうな表情で語っていた大和の顔が浮かんで来る。
七瀬にとって、弥生が邪魔な存在であることは間違いない。でもそれだけに、弥生がどんなに一途に大和を愛しているか。まして、結婚を間近に控えて婚約者を裏切るような女性では絶対にないことは、恋敵だからこそ、七瀬にはよくわかっていた。
(私がそうあって欲しいっていう色眼鏡で見たから、そう見えただけかもしれないよ、ね・・・。)
フッと1つ息を吐くと、七瀬は歩き出した。
それから数日間は、もやもやした気持ちを抱えたまま過ごした七瀬だったが、多忙な日々を過ごして行くうちに、いつの間にかそんな思いも消えて行き、2週間ほどが経った週末。
沙耶はこのところ、なにかと忙しいようで、前の日は、夕飯をひとり外食で済ませて、真っすぐに帰宅した七瀬は、寝坊を楽しんで正午近くに起き出すと、もそもそと活動を始めた。そして、ブランチとしか言いようのない食事を摂り終わって、まったりとしているとスマホが鳴りだした。
(沙耶かな?)
そう思いながら、ディスプレイを見た七瀬の目に飛び込んで来たのは「藤堂章」、弟の名前だった。
「もしもし、どうしたの?」
決して仲が悪いわけではないが、普段ほとんど連絡を取っていない弟からの連絡に、何事かと思っていると
『姉ちゃん、今大丈夫か?』
聞こえて来た弟の声は緊迫感を帯びていて、まさか両親か祖母になにかあったのかと、不安を抱いた七瀬の耳に聞こえて来たのは予想もしない言葉だった。
『大和さんが・・・振られちゃったらしい。』
「えっ?」
『大和さんの結婚、ダメになっちゃったんだよ!』
「えっ、まさか・・・。」
思わずそう口走ると
「それって、どういうことなのよ?」
七瀬は尋ねる。まさか、信じられないという思いだった。
『わかんねぇよ。ついさっき、柊木のおばさんが顔面蒼白で、ウチに飛び込んで来てさ。そんなことを言い出すから、こっちも泡食っちゃってさ。親父とオフクロが、今おばさんをなだめながら、事情を聴いてるんだけど、俺は取り敢えず姉ちゃんに知らせないとと思ってさ。』
「そ、そっか・・・。」
弟の言葉に、七瀬はやや焦りながら答える。
よからぬ想像が、ふと頭をよぎる。
でも、次の瞬間、式の準備も順調に進んでいる・・・この前会った時、そう幸せそうな表情で語っていた大和の顔が浮かんで来る。
七瀬にとって、弥生が邪魔な存在であることは間違いない。でもそれだけに、弥生がどんなに一途に大和を愛しているか。まして、結婚を間近に控えて婚約者を裏切るような女性では絶対にないことは、恋敵だからこそ、七瀬にはよくわかっていた。
(私がそうあって欲しいっていう色眼鏡で見たから、そう見えただけかもしれないよ、ね・・・。)
フッと1つ息を吐くと、七瀬は歩き出した。
それから数日間は、もやもやした気持ちを抱えたまま過ごした七瀬だったが、多忙な日々を過ごして行くうちに、いつの間にかそんな思いも消えて行き、2週間ほどが経った週末。
沙耶はこのところ、なにかと忙しいようで、前の日は、夕飯をひとり外食で済ませて、真っすぐに帰宅した七瀬は、寝坊を楽しんで正午近くに起き出すと、もそもそと活動を始めた。そして、ブランチとしか言いようのない食事を摂り終わって、まったりとしているとスマホが鳴りだした。
(沙耶かな?)
そう思いながら、ディスプレイを見た七瀬の目に飛び込んで来たのは「藤堂章」、弟の名前だった。
「もしもし、どうしたの?」
決して仲が悪いわけではないが、普段ほとんど連絡を取っていない弟からの連絡に、何事かと思っていると
『姉ちゃん、今大丈夫か?』
聞こえて来た弟の声は緊迫感を帯びていて、まさか両親か祖母になにかあったのかと、不安を抱いた七瀬の耳に聞こえて来たのは予想もしない言葉だった。
『大和さんが・・・振られちゃったらしい。』
「えっ?」
『大和さんの結婚、ダメになっちゃったんだよ!』
「えっ、まさか・・・。」
思わずそう口走ると
「それって、どういうことなのよ?」
七瀬は尋ねる。まさか、信じられないという思いだった。
『わかんねぇよ。ついさっき、柊木のおばさんが顔面蒼白で、ウチに飛び込んで来てさ。そんなことを言い出すから、こっちも泡食っちゃってさ。親父とオフクロが、今おばさんをなだめながら、事情を聴いてるんだけど、俺は取り敢えず姉ちゃんに知らせないとと思ってさ。』
「そ、そっか・・・。」
弟の言葉に、七瀬はやや焦りながら答える。