Restart~あなたが好きだから~
『俺、これから大和さんに会って来るけど、姉ちゃんもあとで、話聞いてやってくれよ。普段はあんまり連絡とってなくても、こういう時こそ、力になってやらないとさ。』
「う、うん・・・。」
複雑そうな声を出している姉に気が付かないまま
『じゃ、頼んだぜ。』
と言って、章は電話を切った。
(そうだよね、章は何も知らないんだもんね・・・。)
そう、弟にとっては、血がつながっている自分はもちろん、大和も、幼い頃から仲良く一緒に育った「きょうだい」なのだ。だから、その「姉」と「兄」たる大和もまた、自分と同じような感情をお互いに抱き合っていると、信じて疑っていないのだ。
いや、大和の方は、まさしくそうなのだろうが、自分は違うのだということを、七瀬はこれまで周囲にひた隠しに隠し続けて来た。理由は2つ、1つはこれまでの人間関係を壊して、周囲に迷惑を掛けたくなかったから。もう1つはあまりに無様な失恋を絶対に知られたくないというつまらないプライドから・・・。
手にしていたスマホをテーブルに置いて、少し物思いに耽っていた七瀬だったが
(あれはやっぱり、そういうことだったってこと・・・?)
ふと、先日、目撃したあの光景が脳裏に甦って来る。
すっかり頭の中が混乱して来た七瀬は、またスマホを手に取ると、発信ボタンに指を掛けて、でもすぐにその指を浮かせた。
(大和に電話を掛ける、か・・・。)
先程の弟の頼みを改めて思い出す。思えば、自分から大和に連絡をとったのは、いつが最後だろう。大和との接触から逃げ回って来た日々、しかし今、事態は変わった。はっきり言って、今回起こったことは、七瀬にとっては手を叩いて、喜びたいくらいの出来事だ。
でも大和は・・・傷付いているはずだ。大袈裟でなく絶望の淵に沈んでいるだろう、かつての自分のように。そんな大和に、やっと自分のターンが来たとばかりに今、喜色満面で近づくことのは、さすがに七瀬も躊躇を感じざるを得ないし、なんと言葉を掛ければいいのかも、正直わからない。
結局、七瀬は、自分から大和に連絡することは出来ないまま、時間は過ぎて行った。
「う、うん・・・。」
複雑そうな声を出している姉に気が付かないまま
『じゃ、頼んだぜ。』
と言って、章は電話を切った。
(そうだよね、章は何も知らないんだもんね・・・。)
そう、弟にとっては、血がつながっている自分はもちろん、大和も、幼い頃から仲良く一緒に育った「きょうだい」なのだ。だから、その「姉」と「兄」たる大和もまた、自分と同じような感情をお互いに抱き合っていると、信じて疑っていないのだ。
いや、大和の方は、まさしくそうなのだろうが、自分は違うのだということを、七瀬はこれまで周囲にひた隠しに隠し続けて来た。理由は2つ、1つはこれまでの人間関係を壊して、周囲に迷惑を掛けたくなかったから。もう1つはあまりに無様な失恋を絶対に知られたくないというつまらないプライドから・・・。
手にしていたスマホをテーブルに置いて、少し物思いに耽っていた七瀬だったが
(あれはやっぱり、そういうことだったってこと・・・?)
ふと、先日、目撃したあの光景が脳裏に甦って来る。
すっかり頭の中が混乱して来た七瀬は、またスマホを手に取ると、発信ボタンに指を掛けて、でもすぐにその指を浮かせた。
(大和に電話を掛ける、か・・・。)
先程の弟の頼みを改めて思い出す。思えば、自分から大和に連絡をとったのは、いつが最後だろう。大和との接触から逃げ回って来た日々、しかし今、事態は変わった。はっきり言って、今回起こったことは、七瀬にとっては手を叩いて、喜びたいくらいの出来事だ。
でも大和は・・・傷付いているはずだ。大袈裟でなく絶望の淵に沈んでいるだろう、かつての自分のように。そんな大和に、やっと自分のターンが来たとばかりに今、喜色満面で近づくことのは、さすがに七瀬も躊躇を感じざるを得ないし、なんと言葉を掛ければいいのかも、正直わからない。
結局、七瀬は、自分から大和に連絡することは出来ないまま、時間は過ぎて行った。