Restart~あなたが好きだから~
営業時代も残業三昧ではなかったが、なんといっても、相手のある仕事であり、定時で上がれることもなかなかなかった。それだけに、退勤時間早々に帰宅の途についている現状は、何とも言えずに新鮮だった。
「取引先の接待の会食に同席することは、もちろんあるけど、基本的に専務は秘書をやたら連れ歩きたがるタイプじゃないから。定時上がりもそんな珍しいことじゃないよ。」
と城之内は言う。だとすれば、こういうことは珍しいことではなくなるのかもしれない。今までより少し長くなりそうなアフタ-5(この言葉自体が既に死語と言う話もあるが)、母親に言われた婚活に精を出す気はさらさらないが
(でも、特にやりたいこともやらなきゃいけないこともないんだよね・・・。)
我ながら、そんな情けないことを思いながら、駅への道のりを歩く。新部署出勤初日ということで、さすがに疲れも感じているから、取り敢えずは大人しく家に帰ろうというのが、今日の七瀬の結論だった。
途中で夕食を摂る為に、自宅最寄り駅近くの定食屋に寄っても、19時前には悠々と帰宅。着替えて、テーブルに座り、ぼんやりと公共放送のニュ-スを眺めた後、沙耶に勤務初日の報告でもLINEしようか思ったら、タイミングよくスマホが鳴り出した。
沙耶かと思いながら、ディスプレイを見た七瀬は、相手の名前を目にして、えっ?という表情を浮かべると、すぐに通話ボタンを押す。
「もしもし。」
『七瀬、もう家?』
「うん。」
『そっか。お疲れ様。』
聞こえて来たのは、大和の声。予期せぬ電話に、内心ドキドキしている七瀬に
『それで、どんな感じ?新しい仕事は?』
昔と変わらない穏やかな口調で大和は尋ねる。
「心配して、連絡くれたの?」
『うん、どうだったかなぁって気になってたからさ。』
「そっか。」
大和の言葉が嬉しくて、思わず笑顔になった七瀬だが
「今日は専務を空港に迎えに行ったりして、なんかバタバタしているうちに、あっという間に1日終わっちゃった。だから、本格的な始動は明日ってことになるんだけど、なんか私みたいなガサツな女には、やっぱり秘書なんてお淑やかな職業は務まりそうもないよ。」
それで気が緩んでしまったのか、つい愚痴めいた言葉を口にしてしまう。
『七瀬がガサツだなんて、俺は思ったことないよ。』
「えっ?」
『だって俺は子供の頃から、ずっと七瀬に面倒見てもらってたし、だいだいガサツな人間が営業マンとして優秀な成績を上げられるはずはないと思うぜ。だから、自信持って行けよ。大した力にはならないだろうけど、でも俺は幼なじみとして、七瀬のことを応援してるからさ』
「大和、ありがとう・・・。」
大和の優しさが身に染みて、七瀬は嬉しかった。
「取引先の接待の会食に同席することは、もちろんあるけど、基本的に専務は秘書をやたら連れ歩きたがるタイプじゃないから。定時上がりもそんな珍しいことじゃないよ。」
と城之内は言う。だとすれば、こういうことは珍しいことではなくなるのかもしれない。今までより少し長くなりそうなアフタ-5(この言葉自体が既に死語と言う話もあるが)、母親に言われた婚活に精を出す気はさらさらないが
(でも、特にやりたいこともやらなきゃいけないこともないんだよね・・・。)
我ながら、そんな情けないことを思いながら、駅への道のりを歩く。新部署出勤初日ということで、さすがに疲れも感じているから、取り敢えずは大人しく家に帰ろうというのが、今日の七瀬の結論だった。
途中で夕食を摂る為に、自宅最寄り駅近くの定食屋に寄っても、19時前には悠々と帰宅。着替えて、テーブルに座り、ぼんやりと公共放送のニュ-スを眺めた後、沙耶に勤務初日の報告でもLINEしようか思ったら、タイミングよくスマホが鳴り出した。
沙耶かと思いながら、ディスプレイを見た七瀬は、相手の名前を目にして、えっ?という表情を浮かべると、すぐに通話ボタンを押す。
「もしもし。」
『七瀬、もう家?』
「うん。」
『そっか。お疲れ様。』
聞こえて来たのは、大和の声。予期せぬ電話に、内心ドキドキしている七瀬に
『それで、どんな感じ?新しい仕事は?』
昔と変わらない穏やかな口調で大和は尋ねる。
「心配して、連絡くれたの?」
『うん、どうだったかなぁって気になってたからさ。』
「そっか。」
大和の言葉が嬉しくて、思わず笑顔になった七瀬だが
「今日は専務を空港に迎えに行ったりして、なんかバタバタしているうちに、あっという間に1日終わっちゃった。だから、本格的な始動は明日ってことになるんだけど、なんか私みたいなガサツな女には、やっぱり秘書なんてお淑やかな職業は務まりそうもないよ。」
それで気が緩んでしまったのか、つい愚痴めいた言葉を口にしてしまう。
『七瀬がガサツだなんて、俺は思ったことないよ。』
「えっ?」
『だって俺は子供の頃から、ずっと七瀬に面倒見てもらってたし、だいだいガサツな人間が営業マンとして優秀な成績を上げられるはずはないと思うぜ。だから、自信持って行けよ。大した力にはならないだろうけど、でも俺は幼なじみとして、七瀬のことを応援してるからさ』
「大和、ありがとう・・・。」
大和の優しさが身に染みて、七瀬は嬉しかった。