Restart~あなたが好きだから~
若林の説明が終わると
「なかなかいいじゃないか、結果が楽しみだ。是非今度は、成果をここで報告してくれ。」
「ありがとうございます。」
常務の言葉に嬉しそうに頭を下げた若林だったが
「藤堂さん。」
と専務の声が聞こえる。
「は、はい。」
さすがに呼び捨てではなかったが、まさか呼び掛けられると思っていなかった七瀬が、慌てて返事をすると
「どうだ、今の若林の報告を聞いて。」
真顔で聞かれた。
「え、ええ・・・。」
氷室の問いの意図が分からず、七瀬が返事に困っていると
「構わん、率直な意見を言ってやれ。」
氷室はけしかけるように言って来る。
(この人、何がしたいの・・・?)
正直困惑したが、仕方ないので
「はい。その方針で頑張っていただければと思います。」
と答えると
「だそうだ、若林。発案者のお墨付きがもらえたんだ。自信持って行け。」
若林に向けて、氷室が言い放った。それを聞いた若林は思わず俯き、常務は苦虫を噛み潰したような表情になる。
(専務・・・。)
一方の七瀬も表情に困っていたが、そんな彼女に専務はいたずらっぽく笑ってみせた。
「以上でいいか。」
そこで、これまで沈黙を守っていた氷室社長が重々しく口を開いた。次の瞬間、会議室の空気はピンと張りつめ、出席者の背筋がスッと伸びる。
それから、社長が滔々と話し始める。指摘、指示、賞賛、叱責・・・様々な言葉が出席者に向けられ、彼らはその言葉を一言一句漏らすまいと、懸命にメモに取る。
全てが終了し、席を立った社長が退出すると、ほっとした空気が部屋を支配する。
(凄い存在感だった・・・。)
わかってはいたが、その的確な判断力と指示、そしてその身体から発する迫力とオーラを間近に見て、七瀬は圧倒されてしまっていた。やがて出席者が三々五々、言葉もなく退席していく姿を見て、思わずため息が出る。
「七瀬。」
そんな彼女に専務が声を掛ける。彼の顔もやや強張っているように見えたが
「はい。」
「次の打ち合わせにも付いて来い。」
という指示を受け
「待って下さい。外出の前に、明後日の会議で使う資料作りを済ませてしまわないと・・・。」
思わず答えると
「そんなの、七瀬なら城之内さんと違って、明日にでもそんなに時間も掛からずに作れるだろう。」
という言葉が返って来て、七瀬は固まる。
「行くぞ。」
そんな七瀬を促すように言うと、氷室は歩き出した。
「なかなかいいじゃないか、結果が楽しみだ。是非今度は、成果をここで報告してくれ。」
「ありがとうございます。」
常務の言葉に嬉しそうに頭を下げた若林だったが
「藤堂さん。」
と専務の声が聞こえる。
「は、はい。」
さすがに呼び捨てではなかったが、まさか呼び掛けられると思っていなかった七瀬が、慌てて返事をすると
「どうだ、今の若林の報告を聞いて。」
真顔で聞かれた。
「え、ええ・・・。」
氷室の問いの意図が分からず、七瀬が返事に困っていると
「構わん、率直な意見を言ってやれ。」
氷室はけしかけるように言って来る。
(この人、何がしたいの・・・?)
正直困惑したが、仕方ないので
「はい。その方針で頑張っていただければと思います。」
と答えると
「だそうだ、若林。発案者のお墨付きがもらえたんだ。自信持って行け。」
若林に向けて、氷室が言い放った。それを聞いた若林は思わず俯き、常務は苦虫を噛み潰したような表情になる。
(専務・・・。)
一方の七瀬も表情に困っていたが、そんな彼女に専務はいたずらっぽく笑ってみせた。
「以上でいいか。」
そこで、これまで沈黙を守っていた氷室社長が重々しく口を開いた。次の瞬間、会議室の空気はピンと張りつめ、出席者の背筋がスッと伸びる。
それから、社長が滔々と話し始める。指摘、指示、賞賛、叱責・・・様々な言葉が出席者に向けられ、彼らはその言葉を一言一句漏らすまいと、懸命にメモに取る。
全てが終了し、席を立った社長が退出すると、ほっとした空気が部屋を支配する。
(凄い存在感だった・・・。)
わかってはいたが、その的確な判断力と指示、そしてその身体から発する迫力とオーラを間近に見て、七瀬は圧倒されてしまっていた。やがて出席者が三々五々、言葉もなく退席していく姿を見て、思わずため息が出る。
「七瀬。」
そんな彼女に専務が声を掛ける。彼の顔もやや強張っているように見えたが
「はい。」
「次の打ち合わせにも付いて来い。」
という指示を受け
「待って下さい。外出の前に、明後日の会議で使う資料作りを済ませてしまわないと・・・。」
思わず答えると
「そんなの、七瀬なら城之内さんと違って、明日にでもそんなに時間も掛からずに作れるだろう。」
という言葉が返って来て、七瀬は固まる。
「行くぞ。」
そんな七瀬を促すように言うと、氷室は歩き出した。