Restart~あなたが好きだから~
「そんな親父を創業時から支えたメンバ-、共同起業者だった友人や親父たちが伝手や知縁を辿ってかき集めた、いわばウチの会社の第一世代は、親父と決別したり、独立したりして、既に1人も残っていない。会社が徐々に大きくなり、ウチを就職先の1つとして見て応募して来たその下の第2世代が現在の会社の幹部となり、俺たち30代が第3世代の中堅、そしてお前たちのようなまだ20代の若手の第4世代の連中も着々と増えて来ている。」
「そうですね。」
「そんな社内の中では、創業者である親父はもはやカリスマ、絶対的な存在だ。親父に異を唱える者など、社内には1人もいない。それがいいことかどうかはともかく、それが現実だ。」
「はい。」
「そんな親父も来年還暦だ。それでも見ての通り、元気だし、精力的だし、衰えなんてみじんも感じられない。少なくともまだ10年は平気でトップで居続けるだろう。俺も社内もみんなそう信じていた。だが・・・風向きが変わった。今度の株主総会で現在2人いる副社長が退任して子会社に行く。後任は現在専務の俺の昇格、そして副社長は俺1人になる。つまり・・・次のトップを俺にするという意思表示をしたわけだ。」
氷室の言葉に、七瀬は頷く。
「これはまだ内々の話だが、どうやら親父は出来ればあと1期2年で引退したいと思ってるらしい。長くても2期4年、それで後は俺に任せるつもりらしい。」
「はい。実は・・・先日、そのことは城之内さんから申し送り事項の1つとして、お聞きしました。」
「そうか。なら、はっきり言おう。2年後に俺が親父のあとを引き継ぐなんて無理だ。4年後だって怪しい。正直時間が足りないし、なにより俺の周りには手駒が少ない。」
「手駒?」
「俺には、俺を支え、俺と一緒に会社を前に進めて行こうと心を1つにしてくれる手駒がいないんだ。」
「でも、それは現在の取締役や幹部たちもいますし・・・。」
「昼間の常務の俺に対する剥き出しの対抗心を見ただろう。」
自分の言葉を遮った氷室の言葉に、七瀬はハッと彼を見る。
「ウチはここまで、完全に能力主義で人事を行って来た。歴史が比較的まだ浅い会社だから、当然といえば当然なんだが、結果今の幹部連は親父に対しては忠誠心もあるし、崇拝もしてる。だが、それを息子の俺にスライドさせて抱く気持ちなんか、全く持っていない。むしろそれが当たり前だろう。」
氷室はそう言い切った。
「そうですね。」
「そんな社内の中では、創業者である親父はもはやカリスマ、絶対的な存在だ。親父に異を唱える者など、社内には1人もいない。それがいいことかどうかはともかく、それが現実だ。」
「はい。」
「そんな親父も来年還暦だ。それでも見ての通り、元気だし、精力的だし、衰えなんてみじんも感じられない。少なくともまだ10年は平気でトップで居続けるだろう。俺も社内もみんなそう信じていた。だが・・・風向きが変わった。今度の株主総会で現在2人いる副社長が退任して子会社に行く。後任は現在専務の俺の昇格、そして副社長は俺1人になる。つまり・・・次のトップを俺にするという意思表示をしたわけだ。」
氷室の言葉に、七瀬は頷く。
「これはまだ内々の話だが、どうやら親父は出来ればあと1期2年で引退したいと思ってるらしい。長くても2期4年、それで後は俺に任せるつもりらしい。」
「はい。実は・・・先日、そのことは城之内さんから申し送り事項の1つとして、お聞きしました。」
「そうか。なら、はっきり言おう。2年後に俺が親父のあとを引き継ぐなんて無理だ。4年後だって怪しい。正直時間が足りないし、なにより俺の周りには手駒が少ない。」
「手駒?」
「俺には、俺を支え、俺と一緒に会社を前に進めて行こうと心を1つにしてくれる手駒がいないんだ。」
「でも、それは現在の取締役や幹部たちもいますし・・・。」
「昼間の常務の俺に対する剥き出しの対抗心を見ただろう。」
自分の言葉を遮った氷室の言葉に、七瀬はハッと彼を見る。
「ウチはここまで、完全に能力主義で人事を行って来た。歴史が比較的まだ浅い会社だから、当然といえば当然なんだが、結果今の幹部連は親父に対しては忠誠心もあるし、崇拝もしてる。だが、それを息子の俺にスライドさせて抱く気持ちなんか、全く持っていない。むしろそれが当たり前だろう。」
氷室はそう言い切った。