Restart~あなたが好きだから~
「彼らは親父が自分の息子だと言う理由だけで、俺を後継者に指名しても、到底納得はしないだろう。俺が今、専務であることにすら納得してない連中がいるんだからな。もちろん、面と向かって反対はしないしできないだろうが、そんな状態では親父が去ったあとの会社がどうなってしまうか、想像に難くないだろう。」
「・・・。」
「もちろん、奴らに四の五の言わせないだけの実力を身に付け、実績を俺が上げればいい。その努力はこれまでもして来たつもりだし、これからも怠るつもりはない。だが、それは俺1人だけで出来る話ではない。だから俺は、七瀬を秘書にしたんだ。」
「専務・・・。」
その言葉に、驚いたように氷室を見つめる七瀬。
「俺はな、七瀬。秘書としての城之内さんに不満を持っていた。」
「えっ?」
「彼女は俺が専務になるに当たって、親父が自分の秘書から俺に付けてくれた。社長秘書から専務秘書に転任では、降格と受け取っても仕方ない人事だったが、彼女はそんな不満なんかおくびにも出さずに、俺に献身的に仕えてくれた。何度も助けられたし、親父の考え方ややり方も教えてもらった。でもある時期から、俺は彼女に飽き足らないものを感じていたんだ。確かに城之内さんは優秀な秘書だった、従来のいわゆる世間がイメ-ジする『旧来型の秘書』としてはな。」
「おっしゃりたいことがよくわかりません・・・。」
困惑の声を上げる七瀬をじっと見つめながら
「言葉が適当ではないかもしれないが、彼女は、城之内さんは『メイド型秘書』だ。だが、俺が今、求めている、欲してる秘書は『バディ型秘書』、つまり相棒だ。」
氷室は言う。
「相棒・・・。」
「そうだ。俺にかしづいてくれるのはありがたいが、城之内さんでは俺のバディにはなれない。彼女にはその能力も意思もなかった。だから彼女が結婚を機に、退職したいと言って来た時、俺は正直しめたと思った。そして俺が求める秘書になれる候補を探した、それが七瀬、お前だったんだ。」
「・・・。」
「城之内さんから引き継いだ旧来の秘書業務は、もちろん必要ないわけではないが、しかし俺は七瀬にそんなものに明け暮れてもらうことを求めるつもりはない。お前には俺のバディになってもらう。だから今日、俺はお前をいろんな会議に連れ歩いた。取締役会の資料も渡した。それはそういう意味だ、わかったな。」
いつの間にか、テーブルに置かれたアイスやコーヒ-に手を付ける暇もなく、熱弁を奮う氷室を、七瀬は半ば茫然と見つめていた。
「・・・。」
「もちろん、奴らに四の五の言わせないだけの実力を身に付け、実績を俺が上げればいい。その努力はこれまでもして来たつもりだし、これからも怠るつもりはない。だが、それは俺1人だけで出来る話ではない。だから俺は、七瀬を秘書にしたんだ。」
「専務・・・。」
その言葉に、驚いたように氷室を見つめる七瀬。
「俺はな、七瀬。秘書としての城之内さんに不満を持っていた。」
「えっ?」
「彼女は俺が専務になるに当たって、親父が自分の秘書から俺に付けてくれた。社長秘書から専務秘書に転任では、降格と受け取っても仕方ない人事だったが、彼女はそんな不満なんかおくびにも出さずに、俺に献身的に仕えてくれた。何度も助けられたし、親父の考え方ややり方も教えてもらった。でもある時期から、俺は彼女に飽き足らないものを感じていたんだ。確かに城之内さんは優秀な秘書だった、従来のいわゆる世間がイメ-ジする『旧来型の秘書』としてはな。」
「おっしゃりたいことがよくわかりません・・・。」
困惑の声を上げる七瀬をじっと見つめながら
「言葉が適当ではないかもしれないが、彼女は、城之内さんは『メイド型秘書』だ。だが、俺が今、求めている、欲してる秘書は『バディ型秘書』、つまり相棒だ。」
氷室は言う。
「相棒・・・。」
「そうだ。俺にかしづいてくれるのはありがたいが、城之内さんでは俺のバディにはなれない。彼女にはその能力も意思もなかった。だから彼女が結婚を機に、退職したいと言って来た時、俺は正直しめたと思った。そして俺が求める秘書になれる候補を探した、それが七瀬、お前だったんだ。」
「・・・。」
「城之内さんから引き継いだ旧来の秘書業務は、もちろん必要ないわけではないが、しかし俺は七瀬にそんなものに明け暮れてもらうことを求めるつもりはない。お前には俺のバディになってもらう。だから今日、俺はお前をいろんな会議に連れ歩いた。取締役会の資料も渡した。それはそういう意味だ、わかったな。」
いつの間にか、テーブルに置かれたアイスやコーヒ-に手を付ける暇もなく、熱弁を奮う氷室を、七瀬は半ば茫然と見つめていた。