Restart~あなたが好きだから~
『そうか、そういうことだったのか・・・。』
やがて、悲しみに満ち溢れた大和の声が聞こえて来る。
「大和・・・ごめんね。」
その声を聞いて、思わずそう口走ってしまった七瀬に
『なんで、七瀬が謝るんだよ。俺の方こそ、お前にこんな嫌な話させて、悪かったな。』
大和も逆に謝って来る。
「そんなこと・・・。」
『ということで、俺の方から誘ったのに申し訳ないけど、明日会うのキャンセルさせてくれないか?』
「大和。」
『今の話を受けて、明日もう1度、佐倉のご両親と話し合う。弥生も呼び出すつもりだけど、たぶん彼女は来ないだろうな・・・。』
寂しそうにそう言った大和に
「わかった。」
七瀬はそう答えるしかなかった。
そして、翌日の夕方、大和から電話が入った。
『全部、終わったよ。』
「そう。」
『弥生に別の恋人が出来たことを、向こうのご両親は知らなかったらしい。』
「えっ?そんなはず・・・。」
ないじゃないと続けようとする七瀬の言葉を遮るように
『訪ねるといきなり「さっき、娘から聞かされた。ケジメもなにもない娘で、お詫びの言葉もない」と謝られた。俺もさすがにそんなわけないだろうと思ったけど、でも弥生本人に直接謝る気も、親の方にも直接謝らせる気もないのはわかったから、もうどうでもよくなって、式場のキャンセル代だけは負担してもらうようにお願いして、それで正式に婚約解消ということで、話を付けて来た。』
淡々と答える大和。
「えっ?慰謝料とかもらわないの?昨日佐倉さんは払うって言ってたし、なんなら相手の男にも請求できるんじゃないの?」
『向こうの両親からもそんなこと言われたし、婚約指輪の代金のこととかも言ってたけど、本当にもうこれ以上関わるのが嫌になってしまって。だから結構ですって答えて、お暇してきたんだ。』
「大和・・・。」
『裏切られたのはもちろん悔しいし、悲しい。でも他に好きな奴が出来たのなら、せめてちゃんと俺に直接言って欲しかった。弥生にとって俺は所詮、その程度の存在だったんだな・・・。』
自嘲気味に呟いた大和に、七瀬は言うべき言葉が見つからない。
『七瀬。』
「うん?」
『いろいろありがとうな。』
「えっ?」
『七瀬には、弥生との仲を取り持ってもらったようなもんだし、今回もいろいろ話を聞いてもらったり、嫌な役目もやってもらってしまったから・・・。感謝してる。』
「ううん・・・。」
複雑な思いを抱きながら、七瀬は答える。
『あと、今日は約束ドタキャンしてごめんな。少し落ち着いたら、この埋め合わせはするから。その時はまたよろしくな。』
「うん、わかった。」
『じゃ、明日からまた仕事頑張ってな。』
「大和もあんまり思い詰めないようにね。」
『ああ、大丈夫。じゃ。』
大和は電話を切った。
(「滅茶苦茶下心満々で大和に会うつもり」なんて浮かれてたけど、今はそんな雰囲気じゃないよね。とても・・・。)
スマホを持ったまま、七瀬はため息をついた。
やがて、悲しみに満ち溢れた大和の声が聞こえて来る。
「大和・・・ごめんね。」
その声を聞いて、思わずそう口走ってしまった七瀬に
『なんで、七瀬が謝るんだよ。俺の方こそ、お前にこんな嫌な話させて、悪かったな。』
大和も逆に謝って来る。
「そんなこと・・・。」
『ということで、俺の方から誘ったのに申し訳ないけど、明日会うのキャンセルさせてくれないか?』
「大和。」
『今の話を受けて、明日もう1度、佐倉のご両親と話し合う。弥生も呼び出すつもりだけど、たぶん彼女は来ないだろうな・・・。』
寂しそうにそう言った大和に
「わかった。」
七瀬はそう答えるしかなかった。
そして、翌日の夕方、大和から電話が入った。
『全部、終わったよ。』
「そう。」
『弥生に別の恋人が出来たことを、向こうのご両親は知らなかったらしい。』
「えっ?そんなはず・・・。」
ないじゃないと続けようとする七瀬の言葉を遮るように
『訪ねるといきなり「さっき、娘から聞かされた。ケジメもなにもない娘で、お詫びの言葉もない」と謝られた。俺もさすがにそんなわけないだろうと思ったけど、でも弥生本人に直接謝る気も、親の方にも直接謝らせる気もないのはわかったから、もうどうでもよくなって、式場のキャンセル代だけは負担してもらうようにお願いして、それで正式に婚約解消ということで、話を付けて来た。』
淡々と答える大和。
「えっ?慰謝料とかもらわないの?昨日佐倉さんは払うって言ってたし、なんなら相手の男にも請求できるんじゃないの?」
『向こうの両親からもそんなこと言われたし、婚約指輪の代金のこととかも言ってたけど、本当にもうこれ以上関わるのが嫌になってしまって。だから結構ですって答えて、お暇してきたんだ。』
「大和・・・。」
『裏切られたのはもちろん悔しいし、悲しい。でも他に好きな奴が出来たのなら、せめてちゃんと俺に直接言って欲しかった。弥生にとって俺は所詮、その程度の存在だったんだな・・・。』
自嘲気味に呟いた大和に、七瀬は言うべき言葉が見つからない。
『七瀬。』
「うん?」
『いろいろありがとうな。』
「えっ?」
『七瀬には、弥生との仲を取り持ってもらったようなもんだし、今回もいろいろ話を聞いてもらったり、嫌な役目もやってもらってしまったから・・・。感謝してる。』
「ううん・・・。」
複雑な思いを抱きながら、七瀬は答える。
『あと、今日は約束ドタキャンしてごめんな。少し落ち着いたら、この埋め合わせはするから。その時はまたよろしくな。』
「うん、わかった。」
『じゃ、明日からまた仕事頑張ってな。』
「大和もあんまり思い詰めないようにね。」
『ああ、大丈夫。じゃ。』
大和は電話を切った。
(「滅茶苦茶下心満々で大和に会うつもり」なんて浮かれてたけど、今はそんな雰囲気じゃないよね。とても・・・。)
スマホを持ったまま、七瀬はため息をついた。