Restart~あなたが好きだから~
⑬
7月に入った。七瀬が専務秘書となって、ひと月が経とうとしていた。ただでさえ勝手がわからない秘書稼業で、主である氷室専務に振り回されるような日々。
(激動の1ヶ月だったな・・・。)
デスクの上のカレンダ-に目をやりながら、そんな感慨を覚えていると、目の前のデスクホンが鳴り、七瀬は急いで席を立つ。ノックをして、専務執務室に入ると
「お呼びでしょうか?」
と尋ねる。
「先日頼んだ資料は出来たか?」
専務に問われ
「はい。今、ご覧になりますか?」
「うん、頼む。」
「お待ちください。」
指示を受けて、七瀬はデスクに戻り、指定の資料を取り出し、専務のもとに戻る。
「分析につきましては、一部私の判断も加えています。」
七瀬がそう言いながら、ペーパ-を差し出すと
「結構だ。目を通しておくから、その間に社長室にアポを取ってくれ。急遽だが、どうしても今日中にお目に掛かりたいんだ。」
「かしこまりました、では失礼します。」
再びデスクに戻るとすぐに社長室に連絡を入れる。そして、向こうからの返答を持って、再び執務室へ。
「社長は今日はスケジュ-ルがいっぱいだそうですが、昼食時に10分程度でよければとのことでした。」
「わかった。何時に伺えばいいか、具体的に指示して下さるように、お願いしてくれ。」
「かしこまりました。」
下がろうとする七瀬に
「七瀬。」
専務が呼び掛けて来る。
「このペ-パ-だが、相変わらずよく出来ている。だが最初の項目に関するお前の分析には同意だが、もう一つのはちょっとな。もう少し考えてみろ。」
「わかりました、少しお時間を下さい。」
「ああ。」
一礼して下がって行く七瀬の後ろ姿を、少し眺めていた氷室は、また手元のペーパ-に目を落とした。
一方の七瀬は
(やっぱり、専務のお気には召さなかったか・・・。)
デスクに戻りながら考えていた。一応作成しては見たものの、実は七瀬自身、あまり自信がなかったのだ。
資料作りは秘書の仕事だが、氷室からはその際、必ず七瀬の意見や判断を添付するように求められていた。
「俺の立場というか、専務になったつもりで考えろ。」
氷室に言われ
(無茶言うよな・・・。)
七瀬は正直に思っている。
(激動の1ヶ月だったな・・・。)
デスクの上のカレンダ-に目をやりながら、そんな感慨を覚えていると、目の前のデスクホンが鳴り、七瀬は急いで席を立つ。ノックをして、専務執務室に入ると
「お呼びでしょうか?」
と尋ねる。
「先日頼んだ資料は出来たか?」
専務に問われ
「はい。今、ご覧になりますか?」
「うん、頼む。」
「お待ちください。」
指示を受けて、七瀬はデスクに戻り、指定の資料を取り出し、専務のもとに戻る。
「分析につきましては、一部私の判断も加えています。」
七瀬がそう言いながら、ペーパ-を差し出すと
「結構だ。目を通しておくから、その間に社長室にアポを取ってくれ。急遽だが、どうしても今日中にお目に掛かりたいんだ。」
「かしこまりました、では失礼します。」
再びデスクに戻るとすぐに社長室に連絡を入れる。そして、向こうからの返答を持って、再び執務室へ。
「社長は今日はスケジュ-ルがいっぱいだそうですが、昼食時に10分程度でよければとのことでした。」
「わかった。何時に伺えばいいか、具体的に指示して下さるように、お願いしてくれ。」
「かしこまりました。」
下がろうとする七瀬に
「七瀬。」
専務が呼び掛けて来る。
「このペ-パ-だが、相変わらずよく出来ている。だが最初の項目に関するお前の分析には同意だが、もう一つのはちょっとな。もう少し考えてみろ。」
「わかりました、少しお時間を下さい。」
「ああ。」
一礼して下がって行く七瀬の後ろ姿を、少し眺めていた氷室は、また手元のペーパ-に目を落とした。
一方の七瀬は
(やっぱり、専務のお気には召さなかったか・・・。)
デスクに戻りながら考えていた。一応作成しては見たものの、実は七瀬自身、あまり自信がなかったのだ。
資料作りは秘書の仕事だが、氷室からはその際、必ず七瀬の意見や判断を添付するように求められていた。
「俺の立場というか、専務になったつもりで考えろ。」
氷室に言われ
(無茶言うよな・・・。)
七瀬は正直に思っている。