好きだなんてずっと言えるわけがなかった。
学校生活

はじまり

ひらひらと舞う薄桃色の花弁が頬を掠めた。
擽ったさを感じる中、眩しい木漏れ日にぐっと背を伸ばす。


私はこの春中学生になった。


といってもあまり新鮮さはなく、周りを見ても小学校からの友達が多い。

唯一新鮮に感じているのは……
この身にまとっている淡い水色のセーラー服だけだ。
前から袖を通すのが楽しみだった。

きょろきょろしていると、刹那背中に衝撃が走った。



「うわっ!?」

「怜ちゃん、おはよう!同じクラスだよ!」



私の背中に飛びついてきたのは、小学校からの親友、竹原舞(たけはらまい)だった。
早口で同じクラスだということを告げられ、私は少し安堵する。


「そっか、よかった。1年よろしくね」

「うん! でも友達いてよかった〜。別の小学校からも人来るじゃん? 知らない人ばっかりだったらどうしようかと思ってて〜」



舞の言葉にはっとした。
改めて周りを見渡してみると、確かに知らない顔もちらほら見える。

そういえばそうだった。
今までは狭い世界でいたけれど、
今日からは少しだけ、世界が広くなる。



横でころころ表情を変える舞とは裏腹に
私は一人ため息を吐いた。

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