成瀬課長はヒミツにしたい
「うん!」

 乃菜は真理子から飛び降りると、スキップしながらダイニングテーブルに向かった。

「きょうはね、のなのリクエストでドリアになったんだよ」

 乃菜は、鼻歌を歌いながらテーブルにスプーンを並べていく。

「そっかぁ。柊馬さんのミートドリアは絶品だもんね」

「そう!《《ぜっぴん》》なんだよ」

 真理子は得意げに答える乃菜を見ながら、成瀬に触れられた頬にそっと手を当てる。

 ピンク色になった頬は、じんじんとして温かかった。


「それにしても今日は、お前の事を守れって言われたのに、逆に守られた感じだったな」

 食後のコーヒーに口をつけると、成瀬はふうっと息をつく。

「そんな! 柊馬さんが隣にいてくれたから、できたんです。一人じゃなかったから」

 真理子は自分用のマグカップをコーヒーマシンから取り上げると、頬を赤らめながらそっと成瀬の向かいに腰かけた。
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