成瀬課長はヒミツにしたい
 ――システム部の人間だったら、ありえない。特に、卓也くんのように、手際がいいタイプなら尚更……。

 真理子はそう言いかけて、一瞬言葉を飲み込む。

 卓也の事を疑いたくはない。

 でもここ最近、様子が変なのは明らかだった。


「佐伯くんと専務の接点は?」

 戸惑った顔をする社長に、真理子は大きく首を振る。

「私が知る限りは、皆無です……」

 じっと眉間に手を当てていた成瀬が、静かに顔を上げた。

「佐伯を調べてみるか」

「でも……」

 真理子は、卓也を疑うことに抵抗を感じ口ごもる。

 成瀬がそっと、真理子の肩に手を置いた。

「真理子の、疑いたくない気持ちはよくわかる。ただ、今はこんな状況だ。時間もない。少しでも気になるなら調べるべきだ」

 しばらくして、真理子は納得すると小さく頷いた。


「俺は佐伯や専務たちの周辺を調べる。真理子は佐伯の作業のログを追えるか?」

「はい……やってみます」

 
 真理子はできるだけ感情を挟まないように、淡々とログ確認を始めた。
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