成瀬課長はヒミツにしたい
 専務と橋本は、突如として眩いばかりのフラッシュに包まれる。

「わ、私じゃない! 話を持ってきて、たぶらかしたのはコイツだ……」

 専務は顔を隠すように大きく両手を振りながら叫ぶと、茫然自失して動けなくなっている橋本を残して、会場を後にしようとした。


「おい、逃げるぞ!」

 小さい叫び声が聞こえ、一斉に立ち上がる音がする。

 すると、慌てて取っ手に手をかけようとした専務の前で、ゆっくりと扉が開いた。


「おやおや、専務。どこへ行かれるのですか?」

 入り口に立ちはだかり、冷たい目で見下ろしているのは成瀬だった。


「き、貴様……」

 専務は口元をわなわなと震わせながら、うめくような声を上げる。

「専務。話は別室で、ゆっくりと聞かせてもらいましょう」

 成瀬の後ろから、常務が厳しい声で淡々と告げた。


「サワイの未来を、楽しみにしてやる……」

 専務はそう吐き捨てると、首をうなだれた橋本と共に外へと連れ出された。
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