成瀬課長はヒミツにしたい
「お前、火傷するぞ」

 成瀬が睨みつけ、真理子のおでこをパチンと叩いた。

 真理子は、えへへとおでこに手を当て、照れながら成瀬を見上げる。


「まりこちゃん、まりこちゃん」

 すると慌てた様子で乃菜が駆け寄り、リビングまで真理子の腕を引っ張った。

 リビングには天井まで届きそうな程の、クリスマスツリーが飾られている。


「のなね、サンタさんに、おてがみかいたんだぁ」

 乃菜は、いつも絵を描いているスケッチブックから切り取った画用紙を、真理子に掲げて見せた。

 そこには、ツリーと共に笑顔の、乃菜とサンタクロースが描かれていた。

 下には乃菜の文字で、“サンタさん プレゼント ありがとう”と書いてある。


「乃菜ちゃん、とっても上手だね。サンタさん、すごく喜ぶと思うよ」

 真理子が乃菜の頭を優しく撫でると、乃菜は嬉しそうにほほ笑んだ。


 その時、ドーンという大きな音が窓の外から聞こえる。

「なに?!」

 真理子がビックリして窓の外を見ると、目の前の夜空に大きな花火が上がっていた。
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