成瀬課長はヒミツにしたい
「おい。乃菜はもう寝る時間だろ」

 楽しい食事の時間も終わり、寝るのを渋っている乃菜に成瀬が声をかける。

「とうたんのケチ! のなはサンタさん、まってるんだもん」

 眠い目をこすりながらも、乃菜が抵抗する。


「乃菜ちゃん。サンタさんは寝たらやってくるんだよー」

 真理子は乃菜をこちょこちょと、くすぐりながら低い声を出した。

 乃菜はきゃははと、身をよじると大きな笑い声を立てる。

「じゃあ、乃菜はパパと寝よう。ちゃんと寝る前に、サンタさんにお願いしなきゃいけないからね」

 社長がウインクすると、乃菜は渋々、真理子と成瀬に「おやすみなさい」を言った。


 乃菜と社長が部屋に入り、バタンと扉の閉まる音がする。

 それを聞いた途端、真理子と成瀬は立ち上がった。

「柊馬さん! 早く早く!」

 真理子は奥の部屋の様子を伺いながら、成瀬に声をかける。

 急いで隠してあった袋を取り出すと、せっせと準備を開始した。

 袋に入っているのは、大人サイズのサンタクロースの衣装だ。
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