成瀬課長はヒミツにしたい
 父親の仕事が多忙で、成瀬が家政婦業を請け負ってサポートしているようだが、父親の詳細は教えてもらえなかった。


「そういえば、『次の予定はまた会社で』って言ってたけど……普段、会わないじゃない。どうすんのよ」

 真理子がデスクに向かってぼんやりと歩いていると、卓也が駆け寄ってくるのが見えた。


「真理子さん! 廊下の掲示って見ました?」

「掲示? 見てないけど……?」

 首を傾げる真理子の腕をつかみ、卓也はそのまま廊下へと出ていく。


「俺ら二人共、新チームの仕事に当たることになったんですよ」

「新チーム? なにそれ……」

「オンラインショップの立ち上げですよ。しかもチームリーダーは成瀬課長」

 卓也は人差し指をぴんと天井に向けた。

「は?! 成瀬課長?!」

 真理子は叫び声をあげると、慌てて人だかりができている掲示板の前に小走りで近づく。

 卓也に肩を押されながら、前に出ると掲示の内容を覗き込んだ。


“自社オンラインショップ立ち上げに伴い、下記の社員をチームメンバーとして招集する。詳細については社内メールを確認すること”
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