成瀬課長はヒミツにしたい
　会議室には徐々に人が集まり、予定時間ピッタリに会議が始まった。

　シーンと静まり返った室内に社長の声が響く。

　社長は自らスライドを操作し、ジュエリーブランドとの契約に至った経緯を説明していた。


　真理子はタイミングを見計らって、そっとお茶を配っていく。

　社長の説明が、会社の経営状況の話に移った。


「サワイは今、大きな転換の時期に来ていると思います。今日皆さんに集まっていただいたのは外でもない、サワイライトの今後について、私の考えに賛同していただきたいと思ったためです」

　社長は立ち上がり、室内を見回すと一旦大きく息を吸った。


「今後サワイライトは、電飾玩具事業から撤退し、イルミネーションライト事業一本で勝負していきたいと思います」

　社長の鋭い声に、室内にいた誰もが一瞬息をのむ。


「え……」

　耳に入ってきた言葉に、真理子は思わず呆然とすると、机にお茶をこぼしてしまった。
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