成瀬課長はヒミツにしたい
「そうでもないのよ。あいつらさ、電飾玩具撤退の賛成派なわけ。年寄連中を追いやって、自分達が会社を動かそうとでも思ってるんじゃないの? 社長が変に肩入れしなきゃ良いんだけど……」

「そんな事、あるんですか……?」

「さあね。最近の社長は、頑なになってるところがあるからね」

 小宮山はそう言うと、何か言いたげな様子でチラッと真理子の顔を見る。

 真理子はその視線に戸惑いながら、社長室との間の扉を開け、そっと中の様子を伺った。


 社長室のソファでは、社長を囲むように数名の若い社員が座っている。

 相手は自分の会社の社長だというのに、みんなまるで臆することなく、砕けた様子で話していた。


 ――卓也くんの、同期の子たちもいる……。


 活発に意見交換できる場は良いのかも知れない。

 それでも、真理子はその様子に、言いようのない違和感を抱いていた。


「あれ?」

 するとその中の一人が、真理子の視線に気がつき声を出した。
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