成瀬課長はヒミツにしたい
「常務には、お前を説得してくれないかって言われた」
「だから、この前あんなこと言ったんだ……」
社長はふっと小さく笑うように息を吐いた。
「別に説得しようとしたわけじゃない。大きく意見が分かれたまま、決断することを危惧しているだけなんだ」
社長は窓の外を眺めたまま、口を開かない。
「お前の、会社や社員を想う気持ちは、十分わかるんだ。それに、会社の方向性を最終的に決めるのは、明彦お前だよ。ただ、今一番問題なのは、社長派だ常務派だの言って、社内が分断されることなんじゃないか?」
成瀬の口調が強くなり、その場の空気に張り詰めたような緊張感が走る。
「わかったよ」
しばらくして社長は静かに振り向くと、小さく声を出した。
「少し一人で考えさせて欲しい。だからそれまで、二人は家政婦にも入らないでくれるかな。乃菜には、俺から伝えておく……」
社長は短くそう言うと、二人を一切見ることなく、椅子に座ってモニターに集中するそぶりをみせる。
「で、でも……」
思わず身を乗り出す真理子の肩を、成瀬がぐっと引き戻した。
真理子が見上げると、成瀬は小さく首を横に振っていた。
「だから、この前あんなこと言ったんだ……」
社長はふっと小さく笑うように息を吐いた。
「別に説得しようとしたわけじゃない。大きく意見が分かれたまま、決断することを危惧しているだけなんだ」
社長は窓の外を眺めたまま、口を開かない。
「お前の、会社や社員を想う気持ちは、十分わかるんだ。それに、会社の方向性を最終的に決めるのは、明彦お前だよ。ただ、今一番問題なのは、社長派だ常務派だの言って、社内が分断されることなんじゃないか?」
成瀬の口調が強くなり、その場の空気に張り詰めたような緊張感が走る。
「わかったよ」
しばらくして社長は静かに振り向くと、小さく声を出した。
「少し一人で考えさせて欲しい。だからそれまで、二人は家政婦にも入らないでくれるかな。乃菜には、俺から伝えておく……」
社長は短くそう言うと、二人を一切見ることなく、椅子に座ってモニターに集中するそぶりをみせる。
「で、でも……」
思わず身を乗り出す真理子の肩を、成瀬がぐっと引き戻した。
真理子が見上げると、成瀬は小さく首を横に振っていた。