成瀬課長はヒミツにしたい
 真理子は成瀬と顔を見合わせると、大きくうなずいた。

 それを見て、小宮山は満足そうに腰に手を当てる。


「んじゃ、創業記念イベントは、秘書課が請け負うってことで。頑張りますか!」

「いいんですか?!」

「もちろん!」

 小宮山は笑いながら、まるで元気を分けてくれるかのように、真理子と成瀬の肩をポンポンと叩いた。


「それじゃあ早速、内容は……」

 打ち合わせを始めた小宮山と成瀬を眺めながら、真理子は胸の前でぎゅっと両手を握る。


 ――社長の周りは、こんなにも素敵な人であふれている。大丈夫。きっとまた、サワイは一つになれる。


 真理子は大きく息を吸うと、机に身を乗り出すように顔を覗き込ませた。


「イベントの事で、私に一つ案があるんですけど!」

「いいよいいよ! どんどんアイディアちょうだい」

 いつの間にか、会議室は明るい声と熱気に包まれる。


 夢中になって話をする真理子を見ながら、成瀬も嬉しそうにほほ笑んでいた。
< 332 / 413 >

この作品をシェア

pagetop