成瀬課長はヒミツにしたい
「お嬢さんから、色々と話を聞いたの。水木さんと成瀬課長が、忙しい社長に代わって、休日も関係なく家族のように接してたこと。お嬢さんを、心から大切に思ってたんだって、すごくわかった……」

「正直、生半可な気持ちじゃ、家政婦なんてできないって思った。私たち、水木さんに対する嫉妬もあって、結構嫌なこと言っちゃったから、謝りたくて……」


「……みなさん」

 真理子は思わずぐっとくる涙をこらえながら、鼻をすする。

 真理子だって最初は、成瀬の策略にはまるかのように家政婦へと引き込まれた。

 成瀬に近づきたいという、不純な動機があったのも事実だ。

 それでも乃菜と接するうち、純粋に乃菜を守りたいと思った。

 だから家政婦に入ることだって、何の苦労も感じなくなっていたのだ。

 その乃菜が、自分の事を他人にそんな風に言ってくれた事が、真理子は何より嬉しかった。


 すると一人が肩をすくめながら、真理子の耳元に顔を寄せる。
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