成瀬課長はヒミツにしたい
　常務が深々と頭を下げ、真理子と成瀬は驚いて目を丸くした。

　真理子たちに社長の説得をお願いするほどだ。

　常務もきっと思い悩んでいたのだろう。


　すると常務は静かに立ちあがり、デスクの引き出しから名刺と、二つ折りになった一枚の紙を取り出した。

「これは委託先の工場の社長の名刺だよ。今は代替わりして、息子が継いでいるらしいが、問い合わせてみると良いだろう。それとね……」

　常務は名刺を成瀬に手渡すと、ソファに腰かけながら、二つ折りになった紙を広げる。


　そしてその紙を、懐かしむようにじっくりと見つめた後、真理子たちの前に差し出した。

「これは……」

「ティアラ……ですか？」

　真理子と成瀬が同時に口を開き、常務は静かに首を縦に振った。


「これは電飾玩具の設計図なんだ。先代の手書きのね」

「先代の？！」

　常務は昔を思い出すような顔をすると、午後の日差しが差し込む窓辺に目を向ける。
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