成瀬課長はヒミツにしたい
「君たちは、王冠の玩具ができた背景は、知っているかな?」
「はい。社長が生まれた時、記念に先代が作ったものだって伺いました」
真理子の声に、常務は「そうかそうか」と大きくうなずきながら、嬉しそうに顔を向ける。
「その設計図に書かれた玩具はね、乃菜ちゃんのために、先代が設計したものなんだよ」
「え……」
真理子と成瀬は思わず息をのむと、慌てて机の上の設計図を覗き込む。
その紙には、丁寧な文字で一つ一つ細かく書き込みがしてあった。
鉛筆で書いては、何度も消して書き直したのだろう。
ところどころ黒くなりながら、可愛らしいティアラの形が描かれていた。
「でも明彦……社長が、先代は乃菜のことを知らないって……」
成瀬が呆然とした顔で、常務を見上げている。
「そりゃあ表向きは、そう装っていたのだろうね。仕事を投げ出して、勘当同然で出ていった息子だ。社員の手前もある。そうせざるを得なかった。でも本当は、こっそり様子を見に行ってたんだよ」
「はい。社長が生まれた時、記念に先代が作ったものだって伺いました」
真理子の声に、常務は「そうかそうか」と大きくうなずきながら、嬉しそうに顔を向ける。
「その設計図に書かれた玩具はね、乃菜ちゃんのために、先代が設計したものなんだよ」
「え……」
真理子と成瀬は思わず息をのむと、慌てて机の上の設計図を覗き込む。
その紙には、丁寧な文字で一つ一つ細かく書き込みがしてあった。
鉛筆で書いては、何度も消して書き直したのだろう。
ところどころ黒くなりながら、可愛らしいティアラの形が描かれていた。
「でも明彦……社長が、先代は乃菜のことを知らないって……」
成瀬が呆然とした顔で、常務を見上げている。
「そりゃあ表向きは、そう装っていたのだろうね。仕事を投げ出して、勘当同然で出ていった息子だ。社員の手前もある。そうせざるを得なかった。でも本当は、こっそり様子を見に行ってたんだよ」