成瀬課長はヒミツにしたい
「いよいよですね」
創業記念イベントの前日、真理子はイベント会場に立つと、隣の成瀬を振り返る。
「あぁ、そうだな」
成瀬の低い声が聞こえ、二人は会場の真ん中に作り上げられたイルミネーションの骨組みを見上げていた。
イベントは、会社の近くのホテルの宴会場を貸し切って行うことになっている。
企画運営は秘書課が行い、当日の招待客は社員とその家族。
本社の社員だけでなく、自社工場の社員やパートに至るまで、招待状が送られた。
「ちょっとぉ! そこ曲がってんだけどぉ」
大きな叫び声が聞こえ見上げると、脚立に乗りながら手を動かす社員の姿が見える。
以前、社長室に来ていた営業部などの若い社員たちだ。
――良かった。積極的に参加してくれてるんだ。
真理子はその姿を見て内心ほっとする。
このイベントの企画の段階で、真理子は小宮山に提案したことが二つあった。
その一つが、若い社員をスタッフとして巻き込むことだ。
彼らは、電飾玩具の撤退賛成派の筆頭だったが、敢えてイベントの運営を一緒に行う事で、彼らの会社に対する考え方も多様になるのではないかと思ったのだ。
創業記念イベントの前日、真理子はイベント会場に立つと、隣の成瀬を振り返る。
「あぁ、そうだな」
成瀬の低い声が聞こえ、二人は会場の真ん中に作り上げられたイルミネーションの骨組みを見上げていた。
イベントは、会社の近くのホテルの宴会場を貸し切って行うことになっている。
企画運営は秘書課が行い、当日の招待客は社員とその家族。
本社の社員だけでなく、自社工場の社員やパートに至るまで、招待状が送られた。
「ちょっとぉ! そこ曲がってんだけどぉ」
大きな叫び声が聞こえ見上げると、脚立に乗りながら手を動かす社員の姿が見える。
以前、社長室に来ていた営業部などの若い社員たちだ。
――良かった。積極的に参加してくれてるんだ。
真理子はその姿を見て内心ほっとする。
このイベントの企画の段階で、真理子は小宮山に提案したことが二つあった。
その一つが、若い社員をスタッフとして巻き込むことだ。
彼らは、電飾玩具の撤退賛成派の筆頭だったが、敢えてイベントの運営を一緒に行う事で、彼らの会社に対する考え方も多様になるのではないかと思ったのだ。