成瀬課長はヒミツにしたい
真理子は自分のデスクに戻ると、ぼんやりと卓也との会話を思い出す。
――“謎が多い人”かぁ……。確かに社長と親しそうだったよね。“柊馬”って名前で呼ばれてたし。
以前から、成瀬は社長からの信頼が厚い、という話は聞いていた。
もしかしたら個人的に親しい関係なのかも知れない。
――成瀬課長には、まだまだ私の知らない秘密があるんだろうな。
ふと真理子は、夜空を見上げた成瀬の横顔を思い出す。
――“昔のくだらない約束”……か。
家政婦を受けるほどの約束が、くだらないものであるはずがない。
真理子は再び、心がキュッと苦しくなるのを感じながら、ぼんやりとデスクに置いてある王冠のおもちゃを手に取った。
ボタンを押すと、赤・黄・緑のライトが場違いな点滅を繰り返す。
今度の週末は、乃菜の通う園の夏祭りだ。
「これ、お祭りに持って行こう」
真理子は王冠のおもちゃを、そっと鞄にしまい込んだ。
――“謎が多い人”かぁ……。確かに社長と親しそうだったよね。“柊馬”って名前で呼ばれてたし。
以前から、成瀬は社長からの信頼が厚い、という話は聞いていた。
もしかしたら個人的に親しい関係なのかも知れない。
――成瀬課長には、まだまだ私の知らない秘密があるんだろうな。
ふと真理子は、夜空を見上げた成瀬の横顔を思い出す。
――“昔のくだらない約束”……か。
家政婦を受けるほどの約束が、くだらないものであるはずがない。
真理子は再び、心がキュッと苦しくなるのを感じながら、ぼんやりとデスクに置いてある王冠のおもちゃを手に取った。
ボタンを押すと、赤・黄・緑のライトが場違いな点滅を繰り返す。
今度の週末は、乃菜の通う園の夏祭りだ。
「これ、お祭りに持って行こう」
真理子は王冠のおもちゃを、そっと鞄にしまい込んだ。