成瀬課長はヒミツにしたい
 乃菜を真ん中に、三人で手をつなぎながら園までの夜道を歩く。

 乃菜の頭の上では、王冠がピカピカと点滅しながら光っている。


「パパにもみせたかったなぁ」

 少し寂しそうにつぶやく乃菜に、成瀬が「そうだな……」と小さく答えた。


「乃菜ちゃんのパパは今日もお仕事ですか?」

「あぁ。急な会食が入ったらしくて。真理子にもちゃんと挨拶したいって、言ってたんだけどな」

「本当にお忙しい方なんですね。まだ一度もお会いしてないですし」

 真理子がそう言うと、成瀬は一瞬目線を上げ、何か考えるような表情を見せる。


「まぁでも、またすぐに会うだろ」

 しばらくして成瀬はそう言うと、真理子に笑顔を向けた。

 真理子はその言い方に首を傾げつつも、小さく頷く。


 園に到着すると、すでにお祭りは始まっていて、賑やかな声と明るい音楽が響き渡っていた。
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