成瀬課長はヒミツにしたい
きゃーという悲鳴にも似た声と共に、女性社員達は足取りも軽く出て行った。
真理子は「ふーん」と鼻を鳴らす。
若くして人事部課長になった成瀬は、目を見張るほどのイケメンで、社内外関係なくファンが多い。
事実、真理子も初めて成瀬を見た時は、そのイケメンぶりに、つい両手を合わせて拝みたくなったほどだ。
アタックしようとする女性社員も多いが、大抵が門前払いをくらう。
というのも、成瀬は“クール王子”と陰で呼ばれるほど、一切笑顔を見せた事がないのだ。
常に冷静沈着、感情を表に出さず、他者とも関わらないため、プライベートは謎に包まれている。
眼鏡の奥の素顔は見せない、まさにミステリアスな氷の彫刻のようだ。
――そりゃ、私だってお近づきになりたいけどさ。遠くから眺めるのが精一杯……。
真理子はため息交じりにタイムカードを押すと、フロアの一番奥、システム部のデスクに向かった。
真理子は「ふーん」と鼻を鳴らす。
若くして人事部課長になった成瀬は、目を見張るほどのイケメンで、社内外関係なくファンが多い。
事実、真理子も初めて成瀬を見た時は、そのイケメンぶりに、つい両手を合わせて拝みたくなったほどだ。
アタックしようとする女性社員も多いが、大抵が門前払いをくらう。
というのも、成瀬は“クール王子”と陰で呼ばれるほど、一切笑顔を見せた事がないのだ。
常に冷静沈着、感情を表に出さず、他者とも関わらないため、プライベートは謎に包まれている。
眼鏡の奥の素顔は見せない、まさにミステリアスな氷の彫刻のようだ。
――そりゃ、私だってお近づきになりたいけどさ。遠くから眺めるのが精一杯……。
真理子はため息交じりにタイムカードを押すと、フロアの一番奥、システム部のデスクに向かった。