成瀬課長はヒミツにしたい
 担当者からの説明が一通り終わり、部屋がパッと明るくなった。

 社長は、納得した様子でうなずいている。


「皆さん、お疲れさまでした。短期間でここまでのものを仕上げて頂き、僕も嬉しく思っています。この内容で、サイトをオープンさせましょう」

 会議室内には、安堵の声が漏れ、みんなの拍手が聞こえた。

 真理子もほっとして、隣に座る卓也とほほ笑み合う。


 ――これでチームも解散かぁ……。


 ふと寂しさを感じながら、そっと成瀬に目線を向け、真理子はドキッとした。

 成瀬がいつになく優しい瞳で、真理子を見つめているのだ。


「え?」

 すると、真理子を見つめたままの、成瀬の口元がゆっくりと動く。


『お・つ・か・れ』


 そう読み取れた途端、真理子は全身がカーッと熱くなり、真っ赤な顔で慌てて目を伏せた。

「どうしたんですか?」

 首を傾げる卓也に、真理子は下を向いたまま、何度も繰り返し首を振った。
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