成瀬課長はヒミツにしたい
 すると社長が成瀬に何か耳打ちをし、成瀬は静かに会議室を後にした。

 その様子を見届けて、社長が急に明るい表情で口を開く。

「本当はみんなで祝杯をあげに、パーっと行きたいところなんですが、昼間っからそうもいかないので……」

 社長の言葉に、室内には笑い声が漏れる。

「今日のランチは、この会議室でみんなで取りましょう。ケータリングをお願いしてるので、社内の他のスタッフも含め一旦仕事はストップして、みんなで楽しく過ごしましょう」


 社長の言葉を合図に、入り口の扉が開かれ、ケータリング業者のスタッフが次々と中に入ってくる。

 そして会議室はあっという間に、パーティ会場のように変化した。


 ――なんだか社長って、規格外……。


 真理子はあっけに取られたまま、その様子を眺めていた。


 会議室内は歓声と拍手が聞こえ、他の社員も加わって一気にお祝いムードになる。

「俺、社長に挨拶してきます!」

 社員に取り囲まれる社長を見ながら、卓也も声を弾ませながら走って行った。
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