成瀬課長はヒミツにしたい

休日のお出かけ

 懐かしさを感じさせる明るい電子音と、ゴーッという大きなローラーの音。

 人々の笑い声や、楽しそうな叫び声を聞きながら、真理子たちはパークの中を歩いていた。

 ここは自然公園と遊園地が一緒になった、大型のテーマパークだ。


「仕事もひと段落したし、休みにどこか出かけるか?」

 数日前の夕食の時に、成瀬が突然そう言いだした。


 オンラインショップはオープン以降、順調に顧客を増やし、売り上げを伸ばしている。

 予定通り新チームは解散となり、通常業務に戻った真理子たちは、一時の忙しさからは解放されていた。


 ただ、社長が主催したランチ会での出来事は、噂が尾ひれをつけて広がり、社内の雰囲気はあまり良いといえるものではなくなっていた。

 そしてその対応に追われているのか、成瀬も最近疲労の色が見え隠れする時がある。


 ――柊馬さんも、たまにはリフレッシュしたいよね。


 真理子はそう思いながら、笑顔で乃菜を振り返る。
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