成瀬課長はヒミツにしたい
「動物園とか水族館とか、いいんじゃない?」

 乃菜は瞳をキラキラと輝かせると、天井を見上げる。

「えーっとね。えーっとね」

 乃菜は、一生懸命にどこにしようか考えているようだ。


「乃菜が前に、行きたいって言ってた所があったよな?」

 しばらくして成瀬がそう言うと、乃菜ははっとした顔をする。

 そして急いで持っていた箸をテーブルに置くと、リビングに走って行った。


「のなね! ここにいきたい!」

 満面の笑みで戻ってきた乃菜の手には、小さなチラシが握られている。

「どれどれ?」

 真理子は、テーブルに置かれた細長い紙を覗き込んだ。


 それはよくスーパーに置いてある、テーマパークの割引券がついたものだった。

 表には観覧車やジェットコースターの写真があり、裏面には広大な敷地のイルミネーションの写真が載っていた。


「あ。ここって……」

 真理子が声を出し振り返ると、成瀬が小さく頷いている。
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