成瀬課長はヒミツにしたい
「うちの製品を使った、イルミネーション施設だな。この企画は、うちがイルミネーションのデザインから関わった、初めての施設なんだ」

「そうだったんですね」

 成瀬の声にうなずきながら、真理子は乃菜の顔を覗き込んだ。


「乃菜ちゃんは、キラキラが大好きだもんね。じゃあ、ここにしようか?」

 開いた目をさらに丸く見開いた乃菜は、グーにした手を胸元で振っている。

「うんっっ!」

 乃菜は大きく返事すると、ダイニングテーブルの周りをぴょんぴょんと飛び回った。


「こらこら! 乃菜、食事中だぞ」

 そう言いながらも、成瀬の表情は柔らかい。


 ――柊馬さんと一緒に遊園地に行けるなんて、デートみたいでドキドキする……。


 それから週末までの数日間、真理子は乃菜と一緒にお出かけの日を、指折り数えて楽しみに待った。

「子供が二人になったみたいだな……」

 キッチンから聞こえる成瀬の声は、いつもよりも弾んで聞こえた。
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