成瀬課長はヒミツにしたい
 爽やかな秋晴れの風を感じながら、真理子は乃菜とパークの中を走り回っていた。

 もうすでにメリーゴーラウンドやブランコ、飛行機の乗り物にアスレチックと、いくつもアトラクションを巡っている。

 さすがの真理子も息が切れて来ていた。

 振り返ると、成瀬はだいぶ遅れをとって追いかけてくる。


「のなね、次はあれに乗りたい!」

 子供向けのジェットコースターを指さす乃菜に、真理子は膝に手をつきながら顔を上げた。

「の、乃菜ちゃん……。ちょっとだけ休憩していい?」

「うーん。じゃあ、ソフトクリームたべたい」

「オッケー……」

 真理子はパラソルの下のテーブルと椅子を見つけると、倒れ込むように座り込んだ。


「お前、すごい体力だな……」

 やっと追いついた成瀬が、同じように椅子にドカッと座り込む。

「いえ、もう限界です……足腰バキバキ」

 顔をゆがめる真理子に、成瀬があははと笑い声をあげた。

 乃菜はそんな成瀬の顔を、にこにこしながら見上げていた。
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