成瀬課長はヒミツにしたい

知ってしまった秘密?

「全く、お姉ちゃんも世話が焼けるんだから」

 定時で会社を出た真理子は、そのまま姉の家の近所のスーパーへ向かっていた。


 広告代理店で忙しく働く姉は、夫と息子との三人暮らし。

 気楽に独身で過ごしている妹の真理子には、何かと用事を頼むことが多かった。

 『旦那じゃ、あてにならないのよ。真理子お願い。どうせ会社と家の往復だけ、してるんでしょ?』


 姉の言葉に眉をひそめながらも、頼られるとまんざらでもない気分になってくる。

「やっぱり私って、根っからのお世話好きって事?! 重症かも……」


 スーパーのカートを押しながら、はぁとため息をついた。

 夕飯時のスーパーは、会社帰りの人達で賑わっている。

 真理子は買い物のメモを見ながら、人々の間をすり抜けた。
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