動機は大事。だけど、理由はどうでもいい。
「ふふふ、まぁいいんです。どうぞ続けてください」
やっと喋ったかと思えばよく分からないことを言う。
(私が新人だからって舐めてるの?)
佐和の取り調べを担当している、新人刑事・谷 愛子(たに あいこ)はそろそろ我慢の限界に達しそうだった。
「はぁ…。あなたの実の父も、祐子さんの連れ子である義理の兄二人も、
二人が揉めている様子はなかったと証言しています。
間違いないですか」