チョコより甘く。
「おい、なんで顔隠すんだよ」


 思わず両手で顔を隠すと、手首を掴まれて暴かれてしまう。


「い、今は見ないでぇ」

「……やば、可愛すぎ」

「また可愛いって言ったぁ……」


 恥ずかしすぎて、ちょっと涙が滲んできた。

 それでも充は手を離してくれないし、顔を覗き込むのを止めてくれない。


「も、むりぃ……。今日の充、いじわるだぁ」

「何だよ。俺にくれるはずのチョコ食っていじわるしたのは仁奈だろ?」

「そ、それは悪いと思ってるけど……」

「……悪いと思ってるなら、今からでもくれよ」

「え?」


 なんだか、ちょっと怖い男の目になった充に催促される。
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