チョコより甘く。
「い、今からって言っても……家に不格好なのがあるだけで……」

「まだちょっと残ってるだろ? ここに」


 “ここに”と言って充は顔を近付けてくる。

 色気さえ内包する囁きに、ゾクリとした。

 熱っぽい吐息が唇にかかって、「あ……」と声を漏らすと、ペロリと唇を舐められる。


「……ほら、チョコの味がする」

「っ⁉」


 もはや言葉なんて出てこない。

 充は爽やかイケメンなはずなのに、なんなのこの色気は⁉

 心の中では突っ込むけれど、充のペースに飲み込まれてしまった私は身動きも取れない。


「なぁ……もっと、くれるか?」


 何を⁉


 叫びは心の中だけ。

 声なんて出し方すら忘れたみたいに喉の奥で止まってしまう。
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