チョコより甘く。
「くれんなら口開けろよ。……嫌なら、閉じてればいいから」


 勝手に唇を舐めておいて、そんな選択をさせるなんてズルイ。

 ……嫌なわけ、ないし。

 私はちょっとだけ迷って、口を開く。


「っ⁉」


 充は自分から選択を迫ってきておいて、驚いた様子を見せた。

 でもそれは一瞬で、すぐに開いた唇を塞がれる。

 そして、初めて口内で感じる充の舌の感触。

 私の口の中にまだ残る、チョコの甘さを全部舐めとるように彼の舌が動いた。


「んっ……ふぁ……」


 歯列をなぞり、舌を吸われて喉に詰まっていた声も出てくる。

 自分の声じゃないような甘ったるい音に、ちょっと怖くなって身を固くした。

 でも、そうしたら両手首を掴んでいた充の手が私の背中に回される。

 背中を優しく撫でられながら、もう片方の手が私の後頭部を掴んだ。
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