チョコより甘く。
 今日なら言えると思ったんだけどな……。


 告白しようと思った意気込みも萎えてしまって、私は「はぁ……」とため息を吐いた。


「いいよ、充にチョコなんかあげないから」

「へ?」


 ニヤニヤ笑っていた顔が軽く驚いたものになった充の前で、私はバッグの中で掴んでいた小さな箱を取り出す。

 お店で売っているものみたいに見えるくらいラッピングも頑張った。

 その頑張ったラッピングも乱暴に開いて、トリュフを一粒つまみ上げるとすぐに自分の口に入れる。


 甘いはずのチョコは、どこか苦みを感じてしまう。

 それがまた悲しかった。
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