にょろとふて【短編】
──次の日
「いや、いつ入ってきたの」
気がついたら毛玉ちゃんがいる。どこからも音とか聞こえなかったよ!?
そんでもって、あたしのえさかっぱらってるね。ほっぺたにいくつか入れたよ。男の子だよね。
どれくらい歳とっているのかは解らないけど、毛玉でふわふわしてる。
こういうのってなんて言うんだっけ。モフモフ? それはあたしか。それに、もっと柔らかいんだよね。
「──あ!」
「うん?」
「ふてふてだから、ふて!」
「はい? なんじゃそりゃ」
「小さくて柔らかくて毛玉だから」
ふてちゃん!
あたしがそう言ったら、ふてちゃんが軽く睨んできた。あ、違うか。複雑なかおしてる。
「ならばおまえは、にょろにょろだから、にょろだろう!」
「えー?」
ちゃんと飼い主さんから貰った名前があるのに……。でもまあいいか。
「それいいね。なんか可愛い!」
名前が二つあるのも面白いし。
「お友達になってね」
「はなからそのつもり」
そっけなく言ったけど、まんざらでもない顔をしてる。
新しいお友達が出来たことがすごく嬉しくて、あたしはその日はずっとウキウキしてた。