その甘さ、毒牙につき

私が驚いている間に2人はそんな会話をしていて、ほっと一安心。



「…じゃあ、私今日は友達待たせてるから…。またあしたね、瑞樹くんっ」



宮野さんの嬉しそうな声が聞こえた後、教室の扉がガラガラっと開いてまた閉められた。



これで瑞樹くんが出て行ってくれれば、私も出られる。



早く解放されたい思いをグッと飲み込んで耐えていたら、何やら足音がコツコツとこちらに向かって近づいてきている感覚。



………え??



「人の告白覗き見するとか、とんだ悪趣味だね」



特に感情の籠っていない声が聞こえたのと同時に、綺麗な顔が私を覗いた。
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