その甘さ、毒牙につき


「な、なに…?」



「さっきの、もーいっかい言ってよ」



「さっきの……?」



「“瑞樹くんが好きなの”ってやつ」



「っ…!」



恥ずかしいとか、とっくのとうに通り過ぎてる。



でも…もう、キャパオーバー。



「…また今度」



これは瑞樹くんのマネ。



「だめ、今言って」



……その手は効かないらしい。



「なんで瑞樹くんは良くて、私はダメなの…」



納得いかないって思ったけど…もう一回くらいなら…。



すぅ…と息を吸って深呼吸する。

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