その甘さ、毒牙につき

ニヤリと上がった口角。



薄く形のいい唇が、妙に色っぽくて。



「なーに?どこ見てんの?伊咲サン」



「っ!ち、ちが…っ!」



無意識のうちに、瑞樹くんの顔に集中していたらしい。



そんな私を、瑞樹くんはますます面白そうに見ている。



「何が違うんだろうね。伊咲さんのヘンタイ」



「へ、へんた……」



もうっ…なんなのいったい。



話しかけてきたと思ったら、よく分からないことで責められて…。



瑞樹くんなんて、顔だけがいいただの嫌な人じゃない。

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