その甘さ、毒牙につき

「…やっぱり、ももちゃんって呼んじゃダメ…かな?苗字呼びってよそよそしくて、ちょっと苦手なんだ」



それは……たしかにそうかも。



初めて西条くんの意見に共感し納得する。



「どんな呼び方でも大丈夫。好きに呼んでください」



そう言うと、顔をパァっと明るくさせる西条くんに、少しビクつく。



……えっーと?



「ほんと…?ありがと、ももちゃん」



「う、ううん…。大袈裟だよ」



そんな、呼び方ひとつでそこまで喜ぶものなの…?



「それは…ももちゃんと仲良くなれた気がして、嬉しいからだよ」

< 55 / 108 >

この作品をシェア

pagetop