その甘さ、毒牙につき
……うそ。こんなことある?
西条くんの手早さも凄いけど、ボヤっとしすぎていた自分にも驚いた。
瑞樹くんのことを考えるだけで、こんなにも意識がもっていかれてる。
「…本当は送っていきたいけど……」
「さ、さすがに悪いよ…!電車降りたらすぐに家だし…」
…と言ってみたものの、ちょっと嘘ついた。
だって西条くん、本当に来そうなんだもん。
私の勘違いじゃないと思えるくらい、西条くんは今にも体が動き出しそう。
「そっか…うん、わかった。今日は諦めるよ」