その甘さ、毒牙につき
「私のことは心配しなくてだいじょーぶ!そこら辺で涼太と電話する約束してるんだ〜」
「そっか、じゃあ大丈夫だね」
「そそ。ってなわけで、早速行ってきな!」
背中をポンッと押され、「うん」と笑う。
「行ってくるね」
「ん、がんば〜!」
芽奈の声援を背に、まっすぐ教室へと向かった。
勿論生徒は誰もいない。
でも、私の教室の扉はほんの少しだけ隙間がある。
…瑞樹くん、もう来てる。
バクバクする胸を押さえて深呼吸。
…大丈夫。芽奈が可愛くしてくれたもん。