その甘さ、毒牙につき
気づいてほしい。
…けど、期待は出来ないから。
恐る恐る教室の扉を開けると、瑞樹くんは振り向いて…
「あ、ももおは──っ!」
目をまん丸にし、赤面した。
………え、っと…?
期待していたものより大きな反応が帰ってきて、私の方が驚いてしまう。
「み、瑞樹くん……?」
初めて見る、瑞樹くんの動揺した姿。
間違いなく狼狽えていることを確信した私は、自分の口角が上がっていくのを感じた。
これは、もしかしなくても…。
「…瑞樹くん、あの…」