その甘さ、毒牙につき
っ……でも…ダメだよ、こんなこと。
幸せなはずなのに、ふと頭によぎる考えが胸を締め付けた。
瑞樹くんには彼女がいる。
しかも、あのバレンタインデーの時に告白してきた宮野さんじゃない。
もう宮野さんとは別れて、今は後輩の子と付き合ってる。
なのに……今こうして瑞樹くんに抱きしめられている私は、最低な人間だ。
浮気…そう捉えられても何らおかしくないし、その通りだろう。
そう頭ではわかってるのに、体は動かない。
相手を傷つけるとわかっていても、このままでいたいと思ってしまう。