その甘さ、毒牙につき

「…ねぇ、もも?」



「…う、うん?」



黙りこくっていた瑞樹くんに呼ばれて、ちょっと反応が遅れてしまった。



でも、特に気にすることなく話し続ける。



「この姿、他のやつに見せてないよね?」



少し声を低くして、探るように聞いてくる。



トイレから教室に来るまでに誰とも会ってないから、見た人は芽奈くらいしかいないはず…。



「うん、もちろん見せてな…」



即答しようとして、一瞬詰まった。



…それって、昨日もカウントするの?



今日だけでなく、昨日も芽奈にメイクをしてもらった。
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