その甘さ、毒牙につき
エントランスホールと呼ばれるところに入ると、思っていたよりも広くてさらに驚く。
それに何より、1番驚くべきことは私の家と大して距離がないところ。
最寄り駅が一緒なのに、どうして今まで会わなかったんだろう…?
「もも、こっち」
色んなことを考えていたら、瑞樹くんに呼ばれてハッとした。
「え?あ…ごめんね、ちょっとびっくりしちゃって…」
「びっくりするところなんてあった?」
もうすでにたくさんあるけど…。
思い当たる節がないのか、首を傾げる瑞樹くん。