間違ってる?間違ってない?
17. 前妻の思いと弁護士
5月9日から夏帆は
マンションには帰っていない。
俺は安易に考えていた。
それに、今までずっと
そうやって来た事に対して
悪いともなんとも思って
いなかった。
美穂や父親が心配したり
意見を言われても
なぜ?だろう位にしか
考えてなかった。
誕生日の日から
二、三日後に
マンションの入り口についた時
携帯に着信が·····
夏帆かと思って携帯の画面を
見ると美穂からだった。
「夏帆さんは、帰って来たの?」
と、心配する美穂に
帰ってない事を伝えた。
「たかだか誕生日如きで
ましてや自分の誕生日を
俺が祝って貰いたい人に
祝って貰って何が悪いのか
わからない。」
と、話していると
後に人の気配がして
振り向くと夏帆で
「悪かったわね!!」
と、泣きながら叫ぶ夏帆には
落胆と屈辱と怒りが見えた。
電話の向こうで叫んでいる
美穂に掛け直すと
伝えて、夏帆を追い
手首を掴むが
「触らないで!!」
の言葉と同時に払われて
驚いてしまった。
その間に夏帆は去り
追いかけたが、タクシーに
乗り込み去って行った。
「くそっ!!!」
と、部屋に入り
携帯をソファーに叩きつける。
9日からずっと
夏帆の携帯に連絡をいれているが
折返しも何もなかった。
また、携帯がなり
見ると美穂からで······
「話していた言葉をきかれて
また、去った」
と、話すと
電話口で美穂は、泣いていて
「嫌いで離婚したわけではない。
と、綺麗事を言っていたけど
本当に好きで、この人とならと
思っていたなら
身体を繋げるだけが愛情表現
ではないと思っている自分がいたの。
ただ、大和は若いから
我慢をさせる事は駄目だと思っていた。
やはり、離婚した時に
きちんとして置けば良かった。
大和、もしくは、私が新たな人と
出会い結婚するときは、
この関係を無くす事。
両方の親が仲が良いから
幼馴染としてきちんと説明する事。
夏帆さんには、申し訳ない事を
してしまった。
いくら、私と大和に感情がない
と言っても
それは、私達だけがわかっている
事で、他人にはわからない事なのよ。」
と、言われた。
その後、
美穂と何を話したか
話さずに切ったのか
定かではないが
携帯を持って座り込んでいた。
それでも朝が来て
仕事には、行かないと行けない。
準備をして銀行へ向かう。
田中さんや穂積君、山田君から
チラチラ見られるような·····
お昼前に電話が回ってきた。
鬼頭さんと言う方からだ。
「お変わりしました。
窓口担当、甲斐と申します。」
と、伝えると
「私、鬼頭と申します。
弁護士をやっております。
山城さんより依頼されています件で
本日、お時間ありますか?」
と、言われて
山城?弁護士?と、思っていると
「甲斐さん?甲斐さん。」
と、呼ばれていたらしく
「あっ、すみません。
18時過ぎでしたら。」
と、伝えると
事務所の場所を言われた。
弁護士?山城さんから?
どんな内容で呼ばれたのか
まったくわからなかったが
窓口も問題なく
18時には終了した。